デニム加工こそ、ジーンズ最大の魅力だということをご存知ですか?
他の殆どのアイテムはいかに汚れにくいか、また汚れないかを考えて制作しますがジーンズは使い込むほど価値が上がります。
履き倒して色落ちを楽しんだり、自分で加工したり‥と育て方は色々ありますが、時間がかかります。
そんなとき、売る前に”使い込んだ”加工を施す、また作る段階で”傷をつける”ことで長年使った風合いを出すことができるのがデニム加工です。
デニム加工には大きく分けて2つの種類があります。
ウォッシュ加工の最大のメリットは【色落ち防止】【縮み防止】【使用感】の3つです。
できるだけ濃い色を残しつつ、ほどよいダメージを出してくれる一番軽い洗い加工です。
また洗うことで縮率の安定感を出します。ほとんどのデニム製品はW/Oしています。
<行程>
・糊抜き→50℃のお湯で10分間の湯洗い
・新しい生地には糊がついているため、次亜塩素酸ソーダを入れた50℃のお湯で10分間湯洗い
・インディゴ染料を多少洗い流すため30℃のお湯で5分間湯洗い
石と一緒に水洗いする加工です。生地に自然なダメージを与え、使い古したような独特な風合いができるのが特徴です。
この風合いを”あたり”と呼びます。
<行程>
大きなワッシャーの中にジーンズと軽石を入れて洗う(家庭では難しいです)
また、石には様々な種類があります。
微生物(酵素)に天然繊維の表面を食べさせる加工です。
製品のへこんでいる箇所が溶解して白くなり生地が痩せるため少し柔らくなります。
自然で生地への余分なダメージが少ないのが特徴です。
<行程>
糊抜き作業はO/Wと同じ→BIO剤を入れて55℃で20分程度洗う→BIO菌を中和するため80℃のお湯に酵素剤を入れ10分洗う→酵素剤を取り除くため、酵素除去剤を入れ50℃で5分洗う→最後に30℃のお湯で5分のすすぎ洗いをする
BIO菌は50〜60℃でないと活動しないので洗う温度は特に重要です。
また酵素は天然繊維しか溶解しないため、ポリエステルなどの多い布には使用できません。
特殊な塩素系の薬品でインディゴを剥ぎ落とし、色を薄くする加工です。
<行程>
糊抜きはO/Wと同じ→次亜塩素酸ソーダという薬剤を入れ通常50℃で15分洗う→中和作業、中和剤を入れ90℃で10分、その後50℃で5分洗う→最後に30℃で5分のすすぎ洗いをする
色をもっと薄くしたければ時間と次亜の量を増やします。
漂白剤を使ってフェードより更に薄く色を落とす加工です。
あえてむら染めを行うことでタイダイやグラデーションを作ることができます。
<行程>
フェード加工とほぼ同じですが、時間が長くなります。
漂白剤を染み込ませた石を混ぜて洗う方法で、独特な雰囲気の加工感が出ます。
1枚、1枚出来上がりが異なります。また、バイオウォッシュなどと掛け合わせて別の風合いを出すこともできます。
<行程>
軽石を次亜塩素酸ソーダに浸け、薬剤を石に染み込ませる→水を入れず、次亜塩素ソーダの滲みた石のみで釜を回す→製品と石が当たったところの色が抜ける
この他にも、
・ボールウォッシュ:ゴムのボールやプラスチックのボールを入れて洗う加工です。ストーンウォッシュより軽く当たりをつけたい時に用います。
・エコブリーチ:通常のブリーチよりグレイッシュにブリーチ出来ます。
ジーンズの足の付根当たりに付くシワ状の色落ちのことを”ヒゲ”と呼び、製品の裏から形を当ててヤスリで削るという加工です。
ヒゲ加工にはこのような形を当てています。
ちなみに内モモに付くシワの色落ちを”下がりヒゲ”
膝の後ろに付くシワの色落ちを”ハチノス”と呼びます。
ダメージとは主に「ほつれ」のことを指し、工場などで金属を削る際に使用する電動ヤスリなどを使い生地の表面を削る加工です。
近年は膝だけではなくベルトやポケット、裾などにダメージを入れることも増えました。
レーザーカッターを使い、レーザー光線で生地を削るため、デニムの色落ちデモ時やイラストを描いたり、特定の場所だけ色を抜いたり、濃淡も自由自在にできる加工です。
レーザー加工は今までできなかった様々な加工ができるため、アイデア次第で無限大の可能性があります。
一概に加工と言っても様々な加工があります。
ぜひ自分好みの加工を見つけて、デニムライフを楽しんでください。